みなさん、こんにちは。クラウド会計専門公認会計士の中田裕司(なかたゆうじ)です。
去る2020年10月1日に、中田裕司公認会計士事務所を開業し、個人事業主になりました。
個人事業主になると、国・都道府県・市区町村に、開業届を提出する必要があります。
今日は、開業に当たり提出する書類の作成方法・提出方法について、紹介します。
注:今回紹介するのは、神奈川県の場合です。他の都道府県と方法が異なりますので、神奈川県以外の方は、開業届を提出する自治体にご確認頂ければと思います。
提出書類
今回、提出した書類は、
- 個人事業開業届出書(神奈川県の様式)
- 所得税の青色申告承認申請書(国の様式)
の2種類です。
個人事業開業届出書
神奈川県電子申請システムHPから、Excelファイルをダウンロードし、「個人事業開業届出書」に記入します。
開業届は、国・都道府県・市区町村に提出するため、国・都道府県・市区町村それぞれの開業届を作成する必要があります。
しかし、神奈川県の「個人事業開業届出書」は、
- 税務署提出用
- 県税事務所提出用
- 市町村提出用
- 控用
の4種類のシートが用意されており、提出先以外の箇所は、1回の入力ですべてのシートに入力可能です。

わたしが入力した箇所は上記の黄色部分と緑色部分です。
黄色部分は、「個人事業開業届出書」ファイルのすべてのシートを選択し、「税務署提出用」シートに入力すると、他のシートにも自動で転記されます。
なお、個人番号(マイナンバー)は、「税務署提出用」シート以外のシートは非表示です。
届出書の左上部の緑色部分は提出先です。
提出先はそれぞれ異なりますので、シート選択を解除して入力します。
わたしのように、横浜市戸塚区で自宅(分譲マンション)を事務所として開業した場合、入力箇所・入力内容は次の表の通りです。
入力箇所 | 入力内容 | 備考 |
---|---|---|
日付 | 提出日(和暦) | 和暦 |
提出先 | 戸塚税務署長、戸塚県税事務所長、横浜市長 | 提出先は各シートで異なる |
納税地 | 自宅の所在地・電話番号 | |
住(居)所 | 同上 | |
事業所 | 同上 | |
屋号 | 事業名 | 屋号はなければ未入力でも可 |
氏名 | 名前・ふりがな | 各シートに要押印 |
生年月日 | 生年月日 | 年号は丸印で囲む |
個人番号 | マイナンバー | |
事業の種類 | 事業内容 | |
開業年月日 | 開業年月日 | 和暦 |
開業の場合の青色申請年月日 | 青色申告承認申請書の提出日 | 開業年月日と同日 |
開・廃業による家屋の利用状況 | 自用 |
所得税の青色申告承認申請書
所得税の青色申告承認申請書を提出する理由
「所得税の青色申告承認申請書」は、開業に当たり必須の書類ではありません。
必須じゃなければ、提出しなくてもいいのでは?と思いますよね。
なぜ、「所得税の青色申告承認申請書」を提出したかというと、「青色申告特別控除」という税制上の優遇を受けられるからです。
「青色申告特別控除」は最高65万円の所得控除を受けられるもので、この優遇を受けるには次の要件をいずれも満たす必要があります。
- 不動産所得又は事業所得に関する事業をしている
- 複式簿記により記帳している
- 貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、法定申告期限内に提出する
ここまで満たせば、55万円の所得控除が受けられます。
そして、上記の3要件に加え、次の要件のどちらか一方を満たすと65万円の所得控除が受けられます。
- e-Tax による申告(電子申告)
- 電子帳簿保存
65万円の所得控除を満たす要件のうち、「電子帳簿保存」は手続が煩雑で、時間がかかる一方、「電子申告」の方がハードルが低いです。
所得税の青色申告承認申請書の作成方法
前振りが長くなりましたが、ここからは、「所得税の青色申告承認申請書」の作成方法について紹介します。
わたしは開業freeeを使って、「所得税の青色申告承認申請書」を作成しました。
開業freeeのホームページへ行くと、質問項目があるので、質問に答えます。
質問項目は次の通りです。
- 仕事の概要
- 事業開始予定日
- 収入はいくらくらいになりそうですか?目指していますか?
- どこで仕事をしますか?していますか?
- 従業員や家族に給与を支払う予定はありますか?

質問に答えると、申請に必要な情報を入力する画面が出てきますので、次の項目を入力します。
- 屋号(未入力でも可能)
- 申請者情報(氏名、住所、電話番号、生年月日)
- 収入(所得)の種類(不動産所得・山林所得がなければ、事業所得のみ選択)
- 確定申告の種類(青色申告65万円控除、青色申告10万円控除、白色申告から選択)

申請情報を入力すると、書類の提出先(所轄税務署)の地図が出てきますので、提出先を確認します。
「書類を確認する」ボタンを押すと、開業freeeで作成した書類の内訳、書類及び控えがPDFで出力されます。
書類の内容を確認したら、書類のPDFを印刷→提出日の記入をします。
控えの印刷も忘れずに!!




なお、開業届が作成されますが、神奈川県の方は、上述の「個人事業開業届出書」を提出しますので、開業freeeで作成した開業届は無視して構いません。
提出方法
税務署へ提出するだけでOK
「個人事業開業届出書」「所得税の青色申告承認申請書」共に、税務署へ持参 or 郵送でOKです。
「あれ、『個人事業開業届出書』は県税事務所や市区町村にも提出するのでは?」と思われたあなた、その必要はありません。
神奈川県では、税務署に「県税事務所用」「市区町村用」を提出すると、税務署から県税事務所・市区町村に回付してもらえます。
「所得税の青色申告承認申請書」は当然のこと、「個人事業開業届出書」の「県税事務所用」「市区町村用」「控用」も、税務署に提出しましょう。
税務署に「個人事業開業届出書」「所得税の青色申告承認申請書」を提出すると、控に税務署が押印しますので、控を受け取ります。
控は、事業用の銀行口座やクレジットカードを作る際に必要なので、大事に保管しましょう。


提出書類以外に必要なものがある
税務署に持参もしくは郵送する際、「個人事業開業届出書」「所得税の青色申告承認申請書」以外にも必要なものがあります。
持参・郵送のパターンに分けて、紹介します。
なお、税務署に持参したけど、開庁時間外だった場合、「時間外収受箱」へ投函できます。
(わたしは税務署が自宅近くでしたが、窓口での混雑を避けるため、「時間外収受箱」へ投函しました。)
税務署へ持参する場合(開庁時間内)
- マイナンバーが分かる書類(例:マイナンバーカード、マイナンバー通知カード)
- 身分証明書(例:運転免許証、パスポート。なお、マイナンバーカードを提示する場合、別途身分証明書の提示は不要)
税務署へ持参する場合(開庁時間外)・郵送する場合
- マイナンバーが分かる書類のコピー(例:マイナンバーカードのコピー、マイナンバー通知カードのコピー)
- 身分証明書のコピー(例:運転免許証のコピー、パスポートのコピー。マイナンバーカードの表裏コピーを提出する場合には、別途身分証明書のコピーは不要)
→マイナンバーが分かる書類のコピー&身分証明書のコピーは、こちらの台紙に貼付します。 - 所定の料金の切手を貼った返信用封筒(控を郵送してもらうため)
まとめ
神奈川県で開業する場合、
- 個人事業開業届出書
- 所得税の青色申告承認申請書(任意)
を、税務署に持参 or 郵送し、マイナンバーが分かる書類+身分証明書を提示します。
神奈川県で、これから開業を予定されている方、また、開業したけど開業届を提出していない方は、参考にして頂けますと幸いです。
編集後記
本日早朝、サッカーイングランドプレミアリーグのアストンビラ対リバプールをDAZNで観戦しました。
結果は7対2でアストンビラの圧勝でした。
何がダメだったかというと、守りがゆるかったの一言につきます。
リバプールが7失点したのは57年ぶりということで、ある意味、歴史の証人になったと言えます。
昨年は30年ぶりの優勝、今年は57年ぶりの7失点なので、次はどんな歴史を作ってくれるか楽しみです。