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貸倒処理したときの税金・お金への影響は?

みなさん、こんにちは。freee専門公認会計士・税理士の中田裕司(なかたゆうじ)です。

3月決算の会社の方は、年度末を控え、決算準備に忙しい時期に差し掛かっていると思います。

決算で気にしておきたい項目のひとつが、滞留債権の処理。

何度請求しても入金されず、音沙汰がないとか、連絡はつくけど、先方の懐事情も厳しく、一部しか入金されないとか、いろいろな事情がありますよね。

そんな滞留債権ですが、要件を満たせば、貸倒損失を計上し、税金を取り戻すこともできます。
(取り戻すと言っても、節税ではありません。詳細は後ほど)

今日は、貸倒損失の税務上の処理と税金・お金への影響を紹介します。

目次

貸倒損失って?

貸倒損失は、売掛金・未収入金といった本業で発生した債権や貸付金などの本業以外で発生した債権が、回収できなくなったことで発生した損失です。

貸倒損失が発生する場合には、次の3つがあります。

  • 法律上の貸倒となる場合
  • 事実上の貸倒となる場合
  • 形式上の貸倒となる場合(貸付金は除きます)

この後、ケースごとに損失の額と処理する時期を見ていきます。

貸倒損失の額と処理する時期

法律上の貸倒となる場合

国税庁の法人税基本通達という、国税庁の内規のようなものがありますが、その法人税基本通達9-6-1にこういった記述があります。
(以下も、法人税基本通達が出てきますが、興味がなければ読み飛ばしていただいて結構です)

法人の有する金銭債権について次に掲げる事実が発生した場合には、その金銭債権の額のうち次に掲げる金額は、その事実の発生した日の属する事業年度において貸倒れとして損金の額に算入する。

(1) 更生計画認可の決定又は再生計画認可の決定があった場合において、これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額

(2) 特別清算に係る協定の認可の決定があった場合において、この決定により切り捨てられることとなった部分の金額

(3) 法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で次に掲げるものにより切り捨てられることとなった部分の金額

イ 債権者集会の協議決定で合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの

ロ 行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約でその内容がイに準ずるもの

(4) 債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額

法人税基本通達9−6−1より抜粋

長いし、難しい用語も多いので、要約すると、

会社更生法・民事再生法等の法律や関係者の集まりで、債務者が債権の全部又は一部を払わなくていいよと決まった場合、決まった年度に、払わなくていい額が損失となります

なお、この場合は、損失処理は強制で、できる規定ではありません。

事実上の貸倒となる場合

法人税基本通達9-6-2にこういった記述があります。

法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理をすることができる。この場合において、当該金銭債権について担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ貸倒れとして損金経理をすることはできないものとする。

法人税基本通達9−6−2より抜粋

こちらも要約すると、法的に貸倒とは言えないけど、貸倒の状況証拠が揃った場合、状況証拠が揃った年度に、「債権額ー担保処分額」を損失とすることができます
(こちらはできる規定)

注意すべきは、債権の全部が貸倒れた、かつ、(担保がある場合)担保を処分した後でないと、損失処理することができません

債権の一部だけ貸倒れたとか、担保を処分していない場合は、貸倒損失として処理することができません。

ただし、担保処分前であっても、「債権額ー担保評価額」を貸倒引当金繰入額として計上できる可能性があります。

形式上の貸倒れとなる場合

法人税基本通達9-6-3にこういった記述があります。

債務者について次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対して有する売掛債権(売掛金、未収請負金その他これらに準ずる債権をいい、貸付金その他これに準ずる債権を含まない。以下9-6-3において同じ。)について法人が当該売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理をしたときは、これを認める。

(1) 債務者との取引を停止した時(最後の弁済期又は最後の弁済の時が当該停止をした時以後である場合には、これらのうち最も遅い時)以後1年以上経過した場合(当該売掛債権について担保物のある場合を除く。)

(2) 法人が同一地域の債務者について有する当該売掛債権の総額がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合において、当該債務者に対し支払を督促したにもかかわらず弁済がないとき

(注) (1)の取引の停止は、継続的な取引を行っていた債務者につきその資産状況、支払能力等が悪化したためその後の取引を停止するに至った場合をいうのであるから、例えば不動産取引のようにたまたま取引を行った債務者に対して有する当該取引に係る売掛債権については、この取扱いの適用はない。

法人税基本通達9−6−3より抜粋

要約すると、売掛債権(貸付金は含みません)について、

継続的な取引から生じている場合は、取引を停止して1年以上経過した日の年度に、債権額ー1円を貸倒損失として処理できます

また、会社が管理する同一地域内の売掛債権以上に取立費用が発生し、弁済がない場合も債権額ー1円を貸倒損失として処理できます

税金・お金への影響

売掛金

売掛金はそもそもお金を回収する前のもので、売上を計上した年度に、売掛金=収益となって、その収益に税金がかかっています。

売掛金が、後で貸倒損失になったら、今度は貸倒損失(≒売掛金)だけ利益が圧縮されるので、その分税金が安くなります。

ですが、結局のところ、複数年度で見ると、(税率が変わらなければ)税金にもお金にも影響はありません
(節税ではありませんと申し上げたのはこういうことです)

貸付金

貸付金は現実にお金を支出したものです。

逆に言えば、貸付をしていなければ、お金を支出していないので、貸付をした場合よりもお金は多く残ります。

一方で、貸付をしなければ、貸倒損失も発生しないので、貸倒損失を計上した場合に比べて、税金は高くなります。

複数年度で見ると、貸付をしなかった場合、貸倒損失を計上した場合に比べて、貸倒損失×(1−税率)だけ、お金が多く残ります
(貸倒損失を計上すると、節税にはなりますが、税金を節約した以上にお金が出ていくので、貸倒損失を計上した場合は、会社の資産を毀損します)

数値例

以下のスライドで、数値例を用いて、税金・お金の影響を紹介します。

まとめ

今日は、貸倒処理と税金・お金への影響を紹介しました。

イメージをつかんでいただくため、あえてざっくりと記述していますことをご了承ください。

編集後記

広島では桜が開花したそう。

今年は総じて温かいので、全国的に桜の開花は早そうですね。

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