みなさん、こんにちは。クラウド会計専門公認会計士・税理士の中田裕司(なかたゆうじ)です。
2020年12月20日付 日本経済新聞朝刊で、「確定拠出年金、給付型を逆転 年70万人増、加入1000万人迫る」という記事が掲載され、私的年金制度の「確定拠出年金」が「確定給付年金」の加入者を上回ったようです。

記事の中で、
従来は確定給付が主流だったが、長引く低金利で企業は運用難に直面している。運用成績が悪化して積み立て不足が発生すれば企業が穴埋めする必要がある。そのため、あらかじめ拠出額を決めて運用成績によって給付額が変動する企業型確定拠出へ移行する企業が増えている。
2020年12月20日付 日本経済新聞朝刊 「確定拠出年金、給付型を逆転 年70万人増、加入1000万人迫る」より抜粋
とあります。
確定給付年金では、積立不足が発生すると、穴埋めする必要があり、穴埋めを回避するために、確定拠出年金を採用する企業が増えているようです。
何となく、「確定給付年金」と「確定拠出年金」は違うのかなぁと思われたかもしれませんが、この記事だけですと、両者のどこがどう違うのかまでは、理解しにくいと思います。
本日は、「確定給付年金」と「確定拠出年金」の違いを紹介します。
公的年金と私的年金
年金と一口に言っても、多種多様な年金がありますが、大別すると、公的年金と私的年金に分かれます。
「公」的年金は国が運営する年金で、厚生年金や国民年金があり、「私」的年金は企業等が運営する年金で、iDecoや企業年金などがあります。
公的年金は年金保険料さえ納付すれば誰でももらえる年金で、私的年金は公的年金に上乗せして年金保険料を納めて、将来年金として受け取るものです。
公的年金と私的年金については、↓のブログでも紹介しておりますので、ぜひご覧頂ければと思います。

今日、紹介する「確定給付年金」と「確定拠出年金」は、私的年金に分類されます。
確定給付年金と確定拠出年金
確定給付年金
確定給付年金は、
- 年金給付額が確定している
- 年金の支払が確定するまでに計上される費用は、税務上費用と認められない(有税処理)
といった特徴があります。
確定拠出年金
確定拠出年金は、
- 企業型と個人型がある(個人型のことをiDecoと呼びます)
- 年金給付額はあらかじめ決まっていない
- 現実に拠出した分は、税務上費用と認められる
といった特徴があります。
会計処理の違い
「確定給付年金」と「確定拠出年金(※)」の違いは、会計処理にも違いを生みます。
※:企業型を想定しています。個人型は企業の会計処理には影響しませんので、ここでは無視します。
企業が年金の運用リスクを負う「確定給付年金」であれば、「退職給付引当金」を計上し、加入者が年金の運用リスクを負う「確定拠出年金」であれば、「退職給付引当金」を計上せず、拠出時に「退職給付費用」を計上するのみという違いがあります。
まとめ
年金には、公的年金と私的年金があり、私的年金の中でも代表的な「確定給付年金」と「確定拠出年金」では、年金の運用リスクを負う主体が異なるため、会計処理に違いが生じます。
編集後記
おとといの、クリスタル・パレス対リバプール戦で、南野拓実選手がようやくゴールを決めました。
ちょうど、1年前の2019年12月19日が、南野選手がリバプールと契約した日だったそうです。
けが人も多く、彼にかかる期待は大きいですので、これからも頑張ってほしいですね。
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