みなさん、こんにちは。クラウド会計専門公認会計士の中田裕司(なかたゆうじ)です。
住宅・オフィスに関わらず、フリーレントで借りるということは普通にありますよね。
そんな、フリーレントですが、契約条件によって、特殊な会計処理をすることが必要です。
今日は、フリーレントの会計処理(借手側)について紹介します。
フリーレントとは?
フリーレントは、賃料を一定期間無料あるいは減額するものです。
よくあるのは1〜2ヶ月程度ですが、場合によっては3ヶ月以上無料や減額することがあります。
貸手としては、単価を下げると、あとから値上げしにくいですが、単価がそのままであれば、仮に一定期間値下げしたとしても、値下げするよりも利益を確保しやすい面はあります。
フリーレントの会計処理
基本的な会計処理
フリーレント期間:減額後の金額で経費計上(無料の場合、仕訳なし)
フリーレント期間終了後:減額後(=正規)の金額で経費計上
素直に、契約書通りの金額で経費計上します。
特殊な会計処理
賃貸借契約書において、
- 中途解約が不能
- 賃料総額が確定していること
が明らかな場合、フリーレントによって、契約期間にわたり値下げしたものと同じと考え、月々の経費は、家賃総額÷家賃総額で計算された金額を計上します。
数値例
税務上の取り扱い
税務上の取り扱いについても、明確な規定はありませんが、フリーレントの会計処理について、税務上認められないケースがあります。
参照:国税不服審判所 平成30年6月15日裁決 https://www.kfs.go.jp/service/JP/111/13/index.html
個別の契約条件により、結果は異なる可能性がありますが、税務上認められないことがあることは念頭においてください。
なお、経費として認められる期間が、税務と会計で異なるだけですので、どちらの処理を採用していても、契約期間全体で経費として認められる金額は変わりません。
(いわゆる期ズレです)
特殊な会計処理が求められる企業
上場企業、上場企業のグループ企業、上場準備企業、会社法の大会社など、公認会計士の監査を受ける企業は、特殊な会計処理が必要です。
あくまで私見ですが、中小企業でも特殊な会計処理を適用することが望ましいですが、上述の「税務上の取り扱い」の通り、税務上認められない可能性があるため、基本的な会計処理をした方が手間はかかりません。
(特殊な会計処理をしたほうが実態を反映する決算書ではありますが。。。)
まとめ
今日は、借手側のフリーレントの会計処理について紹介しました。
特に上場準備企業の場合、契約書通りの基本的な会計処理で処理するケースが見られますが、特殊な会計処理で処理をしないと、監査法人から指摘を受けますので、ご留意ください。
編集後記
桜の開花情報が全国でちらほら聞かれるようになりましたね。
例年より早いようですので、お花見をするなら今月中でしょうか。
(もちろん、桜の木の下での宴会はなしで、歩いて見るだけですが。。。)