みなさん、こんにちは。クラウド会計専門公認会計士の中田裕司(なかたゆうじ)です。
突然ですが、PayPal(ペイパル)ってご存知ですか?
PayPalは、グローバルにオンラインで決済サービスを提供し、本ブログ執筆日現在で、200以上の国で展開し、3億2,500万のアカウントを持つ米国の企業です。
https://www.paypal.com/jp/webapps/mpp/about
日本の後払いサービスを展開するベンチャー企業Paidy(ペイディ)を3,000億円で買収することを発表したことでも知られる会社ですが、日本ではあまりなじみがないかもしれません。

PayPalでアカウントを作ると、PayPalで決済して商品を買ったり、(事業者の立場から見ると)PayPalを通じて売上計上・代金回収をすることができます。
そんなPayPalですが、PayPalの購入・売上データをfreee会計と連携し、自動で記帳することができます。
わたしもPayPalにアカウント(ビジネスアカウント)を持っており、PayPalで決済したり、請求したりした情報をfreee会計に連携させて記帳しております。
今日は、PayPalで決済したときのfreee会計との連携方法を紹介します。
前提
わたしが実際に購入したサービスを使って、PayPalで決済したときのfreee会計との連携方法を紹介します。
購入したサービスの内容は、次のとおりです。
- 購入したサービス:Zoomミーティングのプロプラン(年払い、米ドル決済)
- 契約期間:2021年9月17日ー2022年9月16日
- PayPalに対する代金の支払い:クレジットカード
(PayPalはユーザーに代わってZoomに代金を支払い、PayPalはユーザーに代金を請求します)
freee会計での連携方法
freee会計において、PayPalは口座として登録することが可能です。
口座として登録した後、次の5つのステップをたどります。
- PayPalとfreee会計を同期
- 取引登録(自動で経理)
- 口座振替登録(自動で経理)
- 自動登録ルールの設定
- クレカとfreee会計を同期(クレカの明細を無視)
ホーム画面の左側「決済サービス・電子マネー」にある「PayPal」の「口座を同期」をクリック

- ホーム画面の中央上部「やること」にある「自動で経理◯件が登録待ちです。『自動で経理』から登録しましょう」をクリック
もしくは、freee会計の画面上部「取引」にカーソルを合わせて、「自動で経理」をクリック


- 支出取引の「詳細」をクリック


- 勘定科目:「前払費用」、品目タグ、備考に取引内容を入力
- 「ファイルを添付」より請求書のPDF等を格納
- 「登録」をクリック(前払費用 XXX / PayPal XXXという仕訳が計上されます)

勘定科目を前払費用としたのは、年払いで翌年度分の費用も決済していること、月次決算を適切に行うためです。
年度をまたがない契約(例:3月決算で、契約期間が4月−翌年3月)で月次決算を行わない場合は、「支払手数料」「通信料」などの経費科目としてもいいでしょう。
(どの科目で計上するかは顧問税理士の方と相談してください)
なお、前払費用から費用に振り替える場合は、freeeのアプリ「前受/前払入力アプリ」を使いましょう。

- STEP.2⑤の登録をしたあとに表示される2つ目の明細の「口座振替・カード引き落とし」をクリック

- 「振替元口座」を決済で使用するクレカを選択
- 備考に取引内容を入力
- 「取引登録後に自動登録ルールを編集」のチェックボックスにチェックを入れる
(マストではないですが、チェックを入れることをオススメします) - 「登録」をクリック(PayPal XXX / クレカ XXXという仕訳が計上されます)

STEP.3④で「取引登録後に自動登録ルールを編集」のチェックボックスにチェックを入れることで、自動登録ルールの設定を行うことができます。
自動登録ルールの設定を行うことで、次回以降に明細を取得した際に、効率的に記帳することができます。
自動登録ルールの設定の画面に移ると、
- 取引口座:「PayPal」
- 取引内容:「完全一致」「その他(Transfer) Credit Card ID:(ID番号)」
- 上記の条件に一致したときに行う処理:「振替を推測する」
- 振替元口座:「決済で使用するクレカ」
と表示されています。

このうち、取引内容について
- 「部分一致」「Credit Card」
に修正し、「設定する」をクリックします。

上記の設定はあくまで一例です。
「Credit Card」ではなく、「Transfer」としてもいいでしょう。
(自動登録ルールの設定は、顧問税理士の方と相談して決めてください)
補足
支出取引(1つ目の明細)について自動登録ルールを設定しませんでしたが、設定しなかった理由は、次のとおりです。
freee会計がPayPalから取得した明細が、
- 「その他(Currency Conversion (debit)) To U.S. Dollar ID:(ID番号)」
というもので、明細上では何を購入したのか分かりません。
何を購入したかが分からない明細をベースに自動登録ルールを設定しても、次回、PayPalから明細を取得したときに、間違った取引内容が推測される可能性が高いので、あえて自動登録ルールを設定しませんでした。
逆に言えば、PayPalから取得した支出取引の明細に、「Zoom」など購入したサービス等が含まれているならば、自動登録ルールを設定したほうがよいでしょう。
(2021年10月1日加筆)
freeeの利用料をPayPalで決済した場合、「支払い フリー株式会社」という明細を取得しました。
このように、何を購入したのかがわかるのであれば、自動登録ルールを設定したほうがよいです。
(実際、わたしはfreeeの利用料について自動登録ルールを設定しました)
- PayPalから明細を取得した日以降、クレカとfreee会計の同期を行う。
(同期の方法は、区分がクレジットカードとなる以外は、STEP.1と同様です)


「やること」より明細を確認する
- 取得したクレカ明細は、取引として登録しないで、明細を無視


明細を無視するのは、二重計上をしないようにするためです。
freee会計で二重計上しても気づかないケースは散見されますので、ご留意ください。
数値例を使って二重計上の仕組みを説明します。

勘のいい方は、クレカの明細を無視するのではなく、PayPalの明細を無視してもいいのではないかと思われた方もいると思います。
実際、PayPalの明細を無視して、クレカの明細を取引登録しても、結果は同じです。
ですが、先にPayPalの明細を取得してから、のちにクレカの明細を取得しますので、PayPalの明細を登録して、クレカの明細を無視したほうが、早く取引結果が帳簿に反映されます。
わたしが使用しているクレカは、未確定の明細もfreee会計に反映しますので、PayPalの明細取得からクレカの明細を取得するまでの期間はそれほど間は空いていませんが、使用するクレカによって、明細が確定するまでfreee会計に取り込まないクレカもあります。
(その場合でも、未確定明細をCSVファイルを使ってfreee会計に反映する「明細アップロード」という方法はありますが、手動で登録するので、誤りも起きやすいですし、せっかくfreee会計を使っているのに手動で登録というのはイケてないです)
PayPalの明細を無視して、クレカの明細を取引登録する場合、取引結果を帳簿に反映するのが遅くなるので、決算早期化の観点からは、PayPalの明細を無視して、クレカの明細を取引登録するのはオススメしません。
(クレカの締めタイミングによっては、取引が発生した月の翌月や翌々月にならないと明細を取得できないこともあります)
まとめ
PayPalで決済したときのfreee会計との連携方法を紹介しました。
- PayPalの明細を登録→クレカの明細を無視
が基本的な流れです。
なお、二重計上に関しては、PayPalだけでなく、Amazon、Amazonビジネス、楽天市場を口座登録したときも、二重計上が起こり得るので、留意しましょう。
編集後記
先日、以前勤務していた会社の方と「Zoom飲み」的なことをしました。
(的なことというのは、わたしはお酒を飲んでいないという意味です)
監査法人を退職した後、初めて勤めた事業会社で、独立した後に初めて受注した業務の基礎となる部分を学んだ会社でもあります。
非常に楽しい時間を過ごせましたが、オンラインではなく、リアルで会える日が来れば良いなと思いました。