決算書をざっくり説明してみました vol.5

みなさん、こんにちは。freee専門公認会計士・税理士の中田裕司(なかたゆうじ)です。

11月2日より不定期にお送りしております「決算書をざっくり説明してみました」シリーズですが、今回で5回目となりました。

前回までで、貸借対照表と損益計算書を紹介しましたが、今回は、決算書の中でも少しマイナーな「株主資本等変動計算書」について紹介します。

目次

株主資本等とは?

株主資本とは?

株主資本等の株主資本ってそもそも何でしょうか?

実は、「決算書をざっくり説明してみました vol.3」で紹介した純資産と関係があります。

純資産として「資本金」「資本剰余金」「利益剰余金」を紹介しましたが、実はこれらが株主資本です。

株主が出資したものと出資によって稼いだ利益を指します。

そして、株主資本はこれら3つだけでなく、もうひとつあります。

それは、「自己株式」です。

自己株式は、株式を発行した企業が、株主から買い戻した株式のことで、出資の払い戻しです。

まとめると、「資本金」「資本剰余金」「利益剰余金」「自己株式」が株主資本です。

株主資本等の「等」とは?

株主資本等の「等」って何でしょうか?

一言でいうと、純資産のうち、株主資本以外の部分です。

決算書をざっくり説明してみました vol.3」で、「資本金」「資本剰余金」「利益剰余金」が純資産として紹介しましたが、実は、純資産はこれらだけでなかったんです。
(ごめんなさい、だますつもりはなかったのですが、頻繁に登場する「資本金」「資本剰余金」「利益剰余金」を純資産としたほうがわかりやすいと思いました)

話を戻して、純資産のうち、株主資本以外の部分とはどういうものがあるのでしょうか?
(個別財務諸表を前提とします)

それは、次の4つです。

  • その他有価証券評価差額金
  • 新株予約権
  • 繰延ヘッジ損益
  • 土地再評価差額金

その他有価証券評価差額金は、すぐに売るつもりのない上場企業等の株式の時価と簿価の差額です。

例えば、株式を100で買って、決算日の時価が120だった場合、差額の20が「その他有価証券評価差額金」です。

新株予約権は、まだ、株式ではないけど、お金を払い込んで、将来株式を取得できる権利を言い、ストック・オプションが代表的です。
(権利行使すると、資本金や資本剰余金になります)

繰延ヘッジ損益と土地再評価差額金は今は用語だけでご認識頂ければ十分です。

なお、「その他有価証券評価差額金」「繰延ヘッジ損益」「土地再評価差額金」を総称して、「評価・換算差額等」と言います。

株主資本等変動計算書とは?

前のセクションでは、「株主資本等」について紹介し、「株主資本等」=「純資産」ということでした。

ということは、株主資本等変動計算書は、純資産変動計算書とも言えます。

具体的には、1年間の純資産の変動を、勘定科目ごとに、変動要因を示したものです。

決算書で表示する際は、次のようなイメージです。

赤枠:前期末の貸借対照表残高
青枠:当期の変動←株主資本等変動計算書で示したいもの
緑枠:当期末の貸借対照表残高

なぜ、株主資本等変動計算書が必要なの?

貸借対照表や損益計算書に比べて、マイナーな株主資本等変動計算書ですが、なぜ、株主資本等変動計算書が必要なのでしょうか?

株主資本は株主が拠出した資本とそれから得られた利益を示すものなので、株主に帰属するものです。

1年間の事業活動の結果、株主に帰属するものがどのように増減したか=株主価値がどのように増減したかを示し、株主が経営者の評価を行うために、株主資本等変動計算書が必要となります。
(株主資本等変動計算書だけでなく、貸借対照表や損益計算書も踏まえて、経営者の評価を行います)

まとめ

株主資本等変動計算書は、純資産の変動を、勘定科目ごとに、変動要因とともに示すもので、株主が経営者の評価をするために必要なものです。

編集後記

今日は、日本公認会計士協会主催の「IPO会計監査フォーラム」(ウェビナー形式)に参加しました。

会計監査の立場から見たIPOに対する考え方を知る機会になりました。

ただ、IPOは内部管理体制を整えればいいわけではなく、ビジネスの成長性が大事ということを改めて思いました。
(わたしも監査法人時代、IPO監査をしてきましたが、IPOが頓挫したのは、ビジネスの成長性を示すことができなかったケースが多いように思います)


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