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これだけは見ておきたい、3つの企業の「質」の指標

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みなさん、こんにちは。クラウド会計専門公認会計士・税理士の中田裕司(なかたゆうじ)です。

2020年12月8日付 日本経済新聞朝刊に、「情報開示、重点指標に差 企業は売上高・利益など『量』/投資家はROEなど『質』」という記事が掲載されていました。

記事の中で、

このほど公表した「ガバナンスサーベイ2020」によると、企業は売上高や利益など「量」の開示を拡充する一方、投資家は自己資本利益率(ROE)など「質」の開示を求める傾向にある。

2020年12月8日付 日本経済新聞朝刊「情報開示、重点指標に差 企業は売上高・利益など『量』/投資家はROEなど『質』」より抜粋

とあり、企業と投資家の間で、情報開示に対するスタンスの違いが浮き彫りになりました

企業側にとって、過年度からの売上高・利益の推移を示すことで、成長していることのアピールがしやすいことが考えられます。

一方、自己資本利益率など「質」の開示は、決算書で開示することが強制されておらず、決算書を見ただけでは分かりません。

実務上は、決算書の数値をもとに、投資家自らが自己資本利益率などの「質」を計算して、意思決定をする必要があります。

企業側も、「質」の開示を進んでしないことで、隠したい何かがあるかもしれません。

企業側が「質」の開示を進んですることを望むばかりですが、それだけに期待するわけにもいかず、自分で企業の「質」を理解できるようにする必要があります。

前フリが長くなりましたが、企業の「質」の指標にはどのような指標があり、どのように見ればいいのかを紹介します。

目次

「質」の指標をなぜ見ないといけないの?

「質」の指標を見る前に、「質」の指標をなぜ見ないといけないの?というところから紹介します。

いろんな企業を比べられるから

ある企業に投資をするかどうかを決める際は、1社だけを見るわけではなく、複数の企業を比べて、ココに投資したいと思った企業に投資するのが通常です。
(何かをほしいモノを買うときも、(衝動買いじゃない限り)いろいろ情報を収集して比較して決めますよね)

複数の企業を比較する際、誰もが知っている有名企業もあれば、知る人ぞ知るというような企業、初めて名前を聞いた企業などといった知名度の違いのみならず、売上規模、資産規模も違った企業を比較することもあります。

売上規模、資産規模の違いがある複数の企業を「量」で比較するとどうなるでしょうか?

A社:売上100億円、利益10億円、B社:売上5億円、利益1億円という企業を比較する例を考えてみましょう。

A社の方が売上も利益も多いし、何か良さげだね。

「量」だけ比較すると、売上も利益もA社の方が多いので、B社より良いように見えます。

ですが、本当にそれでいいでしょうか?

確かに、A社の売上・利益は、B社よりも多いけど、B社は売上が5億円だけど、利益が1億円だよね。
売上に対する利益率を見ると、A社は10%だけど、B社は20%だから、B社の方が効率的に稼いでいると言えませんか?

「量」で比較すると、規模の大きなA社が有利ですが、「質」で比較すると、規模の小さいB社が有利となります。

このように、「質」の指標により、規模の大小に関係なく、いろんな企業を比較し、意思決定をより精緻にすることができます。

過去と比べられるから

投資するかどうかを決めるとき、現在の業績だけを見るわけではなく、過去の業績と比較して、現在の業績を評価するのが通常です。

A社の1年前の業績:売上100億円、利益10億円、A社の今年の業績:売上200億円、利益15億円を比較する例を考えてみましょう。

1年で、売上が100億円増えて、利益も5億円増えてるから順調だね。

「量」を見ると、順調に売上・利益が増えてますね。

ですが、本当にそれでいいでしょうか?

1年前の売上が100億円、利益が10億円だということは、売上が100億円増えたら、利益が10億円以上増えることを期待するけど、実際には、利益が5億円しか増えてないから、売上に対する利益率が下がってるよね。

「量」で比較すると、1年前より売上・利益が増えていますが、「質」で比較すると、1年前の業績が現在より良いと評価できます。

このように、「質」の指標を過去との比較に用いることにより、意思決定をより精緻にすることができます。

「質」の指標って何を見ればいいの?

実際、「質」の指標と言われても、なんのこっちゃとなりませんでしたか?

まずは、次の3つを覚えて頂ければと思います。

  • 安全性
  • 収益性
  • 効率性

単語だけではよくわからないと思いますので、この後、1個づつ紹介します。

安全性

「安全性」は、安定した財務状況かどうか、言い換えると、倒産しやすいどうかを示す指標です。

投資の意思決定でも使いますが、企業活動でも、取引先が倒産したら、売掛金を回収できなくなりますので、与信管理で使うことがあります。

話を戻して、次のスライドで、決算書のどの数値を使って、「安全性」を見るのかを紹介します。
(スライドは6枚あります)

収益性

「収益性」は、効率的に儲かっているのかを示す指標です。

次のスライドで、決算書のどの数値を使って、「収益性」を見るのかを紹介します。
(スライドは3枚あります)

効率性

「効率性」は、資産を効率的に回しているかを示す指標です。

11月27日のブログ「資金繰りをよくするために、CCCを見ましょう!」で紹介した、「売上債権回転期間」「棚卸資産回転期間」「仕入債務回転期間」「CCC」が、代表的な「効率性」の指標です。

まとめ

企業の財務諸表は「量」だけでなく、「質」の指標があり、代表的な指標に、「安全性」「収益性」「効率性」があります。
(他にも「成長性」や「労働生産性」などもありますが、別の機会に紹介します)

なお、これらの指標は、会社の側面のひとつにすぎないので、これらだけで判断しないようにする必要があります。

編集後記

今日、自宅でWeb会議をしていたら、急に自宅のネット環境が悪くなり、会議の大事な部分を聞くことができず。。。

今まで、そんなことはなかったのですが、なぜそんなことになったか分からずじまいです。

自室にWi-Fiルーターを置いたほうがいいのかなぁ?


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