みなさん、こんにちは。クラウド会計専門公認会計士の中田裕司(なかたゆうじ)です。
freeeをお使いの方、タグは使われているでしょうか?
freeeのタグは、一般的な会計ソフトでは、補助科目に相当するものです。
一般的な会計ソフトでは、勘定科目ごとに補助科目を設定します。
一方、freeeのタグは、勘定科目を横断して設定することができます。
(今のところは、一般的な会計ソフトとはなんか違うなくらいに思っていただければ十分です)
freeeのタグは、なにかと便利なので、手間を惜しまずタグを使った方が良いです、と言うか、使うべきです。
ということで、今日は、freeeのタグを使うとこんなに便利だよというのを紹介します。


freeeのタグについて
タグの種類
freeeのタグには、次の5つがあります。
- 取引先・・・売掛金や買掛金・未払金の相手先管理に使う
- 品目・・・売上や経費の種類ごとの管理や預り金
(例:源泉徴収した所得税、特別徴収した住民税、従業員負担の社会保険料)の管理に使う - 部門・・・事業部ごとの損益管理に使う
- メモタグ・・・品目や部門以外で必要に応じて使う
- セグメント(法人のプロフェッショナルプラン以上のみ)・・・事業、地域などの軸での損益管理に使う
(今回の記事では、セグメントタグの紹介は省略します)
なお、メモタグ以外のタグは、1つの取引に1つしか付与できません。
また、freeeの場合、銀行口座=勘定科目なので、預金の補助科目として、銀行口座名を付与しなくてOKです。
(決済サービスのAmazonやASKULをfreeeの口座として登録した場合も、未払金の補助科目として、AmazonやASKULといった補助科目を付与するのも不要です)
タグの設定方法
タグは、次のように設定します。
freee画面の「設定」>「データ設定」>「取引先の設定」or「品目の設定」or 「部門の設定」or「メモタグの設定」より登録します。
(今回は、品目を例に紹介します)

「部門の設定」「メモタグの設定」より
設定したタグの種類を選択
Step.1の後、表示された画面の「+新規作成」をクリックし、品目の新規作成が表示されたら、品目を登録し、「作成」をクリックしたら、登録完了です。

(大量に登録したい場合は、CSVインポートなどで登録可能)

勘定科目を横断してタグを設定できる?
先ほど、「一般的な会計ソフトでは、勘定科目ごとに補助科目を設定しますが、freeeのタグは、勘定科目を横断して設定することができる」と述べました。
一般的な会計ソフトのように、勘定科目ごとに補助科目を設定するのは、同じ補助科目でも、1回設定すればOKではなく、勘定科目ごとに設定しなければならず、煩雑です。
しかし、freeeでは、勘定科目とは独立してタグを設定するので、一般的な会計ソフトのような煩雑さがありません。
例えば、「品目A」という補助科目を登録する際、一般的な会計ソフトでは、旅費交通費の「品目A」、水道光熱費の「品目A」は同じ「品目A」でも、旅費交通費の補助科目・水道光熱費の補助科目として登録するため、2回登録が必要です。
freeeでは、勘定科目との紐付けはないので、「品目A」を登録すれば、あとは、取引登録時に品目が選択肢として出てくるので、旅費交通費であっても、水道光熱費であっても、「品目A」が選択できるようになります。
また、タグごとの分析も可能です(詳細は活用法のセクションで紹介します)
タグの付与方法
タグは取引登録時に付与します。
取引の画面から、「取引先」「品目・部門・メモタグ」の枠にカーソルを合わせると、設定したタグを選択できるので、該当するタグをクリックします。

「メモタグ」→「明細管理サービス」「画像処理ソフトウェア」です。
タグの活用法
タグを付与すると、勘定科目とタグをあらかじめ紐付けたり、効果的にご自身で数値の検証をするための分析・チェックをできたりします。
ここからは、タグの活用法を紹介します。
勘定科目とタグ(取引先・品目)をあらかじめ紐付ける
取引登録時に、この勘定科目のときは、決まったタグを必ず使いたいという場合、あらかじめ、勘定科目と「取引先」「品目」タグを紐付けることができます。
「品目」タグについては、品目ごとに消費税の税区分(課税、非課税、不課税、対象外)を設定することができます。
なお、勘定科目とタグを紐付けた場合、紐付けした勘定科目を取引登録しようとしたときにタグが付与されていないと、取引登録できませんので、ご注意いただければと思います。
例:支払手数料に「決済手数料」「振込手数料」という品目タグを登録し、取引登録時に支払手数料を登録する場合
「決済手数料」「振込手数料」のいずれかのタグを付与しないと、取引登録できず、該当するタグがなければ、新規に品目タグを登録し、勘定科目と紐付ける必要があります。

例:支払手数料
品目:決済手数料→「非課仕入」、振込手数料→「課対仕入10%」
月次推移分析
「レポート」>「会計帳簿」>「月次推移」より損益計算書、貸借対照表の月次推移を見ることができますが、その際、表示するタグで、「取引先」「品目」「部門」で絞り込んで、損益計算書、貸借対照表を表示することができます。
なお、月次推移は前年度の数値も含めて比較することができます。

取引先別残高、品目別残高の検証
貸借対照表の残高の検証で次のようなチェックができます。
取引先別売掛金:請求額のうち、未入金の金額と一致しているか
(買掛金であれば、請求された額のうち、未払となっている額と一致しているか)
品目別預り金
住民税や源泉所得税:翌月10日に納付する住民税や源泉所得税と一致しているか
従業員負担社会保険料:翌月末に納付する従業員負担社会保険料と一致しているか
これらは残高の推移を月次推移で見れば、異常値チェックもできますし、「未選択」の残高がある場合、タグの付与が漏れていることにも気付けます。


まとめ
今日は、freeeのタグを使った管理手法を紹介しました。
特に、貸借対照表の品目別残高や取引先別残高は、間違いが起きやすいので、注意する必要があります。
紹介した活用法はほんの一部ですので、ご自身でタグの活用法を考えてみるのも面白いと思います。
編集後記
1都3県に対する緊急事態宣言が2週間延長される見込みとなりました。
致し方のないのですが、なぜ、延長するのかとか、なぜ、解除するのかといった基準が明確に示されていないので、どちらにしても消化不良です。
もっと言えば、封じ込めがうまくいっている国のやり方を参考にすればいいのになと思います。