みなさん、こんにちは。クラウド会計専門公認会計士・税理士の中田裕司(なかたゆうじ)です。
Amazonでモノを買うことが当たり前のようになっている今日この頃ですが、Amazonでモノを買ったときにこんなことはありませんか?
- 注文したけど、納品が翌月になった
- 来月に発売されるものを今月に予約した
いずれの場合も、注文した月と納品した月が異なります。
注文した月と納品した月が異なることはよくある話ですが、Amazonでモノを買ったときに、注文した月と納品した月が異なる場合、freeeで会計処理しようとすると、少し工夫が必要です。
今日は、Amazonで注文して、納品が月をまたいだときに、freeeでの対応方法を紹介します。

注文した月と納品した月が異なる場合、なぜ、気をつけないとダメなの?
そもそも、Amazonに限らず、モノを買ったときに、注文した月と納品した月が異なる場合、なぜ、気をつけないといけないのでしょうか?
注文しただけでは経費にならないから
モノを注文したとき、発送前まではキャンセルが可能ですよね?
ということは、モノを注文しただけでは、自分のモノではありません。
モノが到着して初めて、自分のモノになります。
会計のルールでは、注文しただけでは自分のモノになっておらず、経費として計上することはできず、支払う義務が確定する=経費として計上します。
したがって、注文しただけで、納品がない場合に、経費として計上することがないように気をつける必要があります。
(もちろん、月単位ではなく、日単位で気をつけるという考えもありますが、月次決算という意味においては、月単位で気にしておけばいいでしょう)
freeeでの登録方法
Amazonでモノを買ったとき、freeeの登録方法は、2パターンあります。
(Amazonをfreeeの口座として登録し、「自動で経理」を使っていることを前提としています)
- 「自動で経理」で登録&「+更新」
- 「自動で経理」で無視&納品取引を手入力
実際にわたしが「リモート経理完全マニュアル――小さな会社にお金を残す87のノウハウ」を予約購入した時の処理を紹介します。
(注文日:2021年2月17日、納品日:2021年3月3日)
「自動で経理」で登録&「+更新」
「自動で経理」で登録&「+更新」の場合、次のステップで進めます。
- 「前払金」の登録(「自動で経理」で登録)
- 費用の振替(+更新)
「自動で経理」で取引明細を取得し、勘定科目に「前払金」を登録します。
何の前払金か分からなくなるといけないので、タグを付与するといいでしょう(品目タグでいいです)

この時点で、次の仕訳が生成されます。
2021年2月17日 前払金 1,683 / Amazon(=未払金)1,683

STEP1で登録した取引について、「金額」の横にある「+更新」をクリックします。
更新日、勘定科目、金額、タグ、備考を、次のように登録します。
(税区分は勘定科目を登録すると、自動的に表示されます。正しい税区分かどうかは登録時に確認してください)
更新日:2021年3月3日(納品日)
勘定科目:新聞図書費
金額:1,683
タグ:Amazon(タグは貴社で管理しているものを入力)
備考:リモート経理完全マニュアル――小さな会社にお金を残す87のノウハウ
上記の登録により、次の仕訳が生成されます。
2021年3月3日 新聞図書費 1,683 / 前払金 1,683


「自動で経理」で取得した明細に反映される
留意事項
「自動で経理」で登録する場合、「決済」の日付が注文日で固定されます。
その結果、「発生日」を決済日より後の日付で設定することができません。

また、決算期をまたぐ場合は、注意が必要です。
上記の方法で仕訳を計上すると、「前払金 XXX/ Amazon XXX」となりますが、「前払金」は、本来、現実に支出しないと使うことのできない勘定科目です。
あくまで、この方法では、年度末までに支出する=年度末には前払金は計上されないので、年度末の貸借対照表で帳尻を合わせることを前提としています。
しかし、決算期をまたいだときに、この方法で計上すると、貸借対照表には、現実に支出していない「前払金」が計上されたままになります。(Amazon(=未払金)も多く計上されます)
そのため、決算整理仕訳で「Amazon XXX/ 前払金 XXX」を計上する必要があり、煩雑です。
「前受/前払入力アプリ」は使わなくてよい
「前払金」から費用へ振替えるためのfreeeのアプリ「前受/前払入力アプリ」がありますが、この場合は使わなくてよいです。
というのも、「前受/前払入力アプリ」は年額◯◯円をまとめて支払い、複数の月にわたって費用を按分したいときには非常に便利ですが、スポットで前払して、費用に振替えるときに「前受/前払入力アプリ」を使うのは、かえって手間がかかるからです。

「自動で経理」で無視&納品取引を手入力
「自動で経理」で無視+納品取引を手入力というのは、
- 「自動で経理」で取得したAmazonの購入明細を「無視」
- Amazonの明細を見ながら、freeeに手入力で取引登録
となります。
登録内容は、次の通りです。
決済:完了
口座:Amazon
取引日:2021年3月3日(納品日)
勘定科目:新聞図書費
金額:1,683
タグ:Amazon(タグは貴社で管理しているものを入力)
備考:リモート経理完全マニュアル――小さな会社にお金を残す87のノウハウ
決済と口座以外は、前のセクションのSTEP2と同じ内容です。
上記の登録により、次の仕訳が生成されます。
2021年3月3日 新聞図書費 1,683 / Amazon 1,683

で、結局どっちがいいの?
2つ方法を紹介しましたが、結局、どっちがいいの?という話になりますよね。
それぞれのメリットを挙げると、
- 「自動で経理」で登録&「+更新」:手入力が少ない(年度をまたがない場合)
- 「自動で経理」で無視&納品取引を手入力:仕訳数が少ない
です。
どちらがいいかはメリット・デメリットをご判断の上、選んでいただければと思いますが、わたしは「自動で経理」で明細を取得したほうが間違いが少ないと思い、「自動で経理」で登録&「+更新」を選択しました。
まとめ
今日は、Amazonでモノを買って、月をまたいで納品されたときに、freeeでの対応方法について紹介しました。
Amazonに限らず、月またいだときには留意するようにしましょう。
編集後記
本来であれば、今日が確定申告期限ですが、期限が1ヶ月延長されています。
あと1ヶ月あるのか、もう1ヶ月しかないのか、捉え方はさまざまですが、のんびりしているとすぐに期限が来てあわてるものですよ。
こちらは、クラウド会計(freee・MFクラウド)とITに強い横浜の会計事務所 | 中田裕司公認会計士事務所のホームページです。
全国のお客さまからのお問い合わせをお待ちしております。