みなさん、こんにちは。クラウド会計専門公認会計士の中田裕司(なかたゆうじ)です。
2021年4月13日に記事を紹介してから、かなりお久しぶりのブログとなってしまいました。
わたしは元気にしておりました。
そんなことはさておき、クラウド会計ソフトfreeeは、日々アップデートされているのですが、2021年6月に、わたしが個人的に待ち望んでいたアップデートがありました。
それは、取引登録に赤伝機能が付加されたというものです。
いきなり、赤伝機能と言われても???となってしまうかもしれません。
赤伝機能を使いこなすと、売掛金などの債権や買掛金などの債務を正しく計上し、債権債務管理も煩雑にならずに済みます。
今日は、債権債務を正しく計上するために必要なfreeeの赤伝機能を紹介します。


赤伝とは?
赤伝とは、すでに計上された売上や仕入の取引について、後日、返金や返品等により取引金額の修正が必要になったために、売上(仕入)のマイナスを計上し、売掛金(買掛金)の残高を修正するものです。
これまでも、売上のマイナスを計上することは可能でしたが、取引から登録する場合に、相手勘定科目が売掛金ではなく、未払費用・未払金などの債務科目でしか計上できず、やむなく、振替伝票で計上されていた方もいると思います。
ですが、振替伝票で計上することのデメリットのひとつとして、振替伝票で計上した売掛金は、振替伝票から未決済取引を作成しない限り、入金管理レポートに反映されず、freeeでの債権管理の対象外になることが挙げられます。
仕入のマイナスを取引登録する場合も同様で、相手勘定科目が買掛金ではなく、未収入金などの債権科目でしか計上できませんし、振替伝票で計上した買掛金は、振替伝票から未決済取引を作成しない限り、支払管理レポートに反映されず、freeeでの債務管理の対象外になります。
その結果、同じ得意先に対して、売掛金と未払費用で別れて計上されたり、同じ仕入先に対して、買掛金と未収入金で別れて計上されたりしてしまい、売掛金(買掛金)残高が正しく計上されないだけでなく、債権債務管理も煩雑です。

支出取引相手勘定科目は債務科目のみ

収入取引相手勘定科目は債権科目のみ
ということで、この後、freeeでの設定方法と入力例を紹介します。
freeeの設定方法
freeeで赤伝機能を使うためには、設定>勘定科目の設定より、赤伝を使いたい勘定科目を選択し、設定します。
(売上や仕入で赤伝を使うことが多いですが、経費科目でも使えます。なお、貸借対照表科目でも設定可能ですが、使うことはありません)
freeeで赤伝機能を使うためには、「設定」>「勘定科目の設定」より、赤伝機能を使う勘定科目を選択します。
今回は、「売上高」を選択します。
(赤伝を使う可能性が高いのは、売上高や仕入高ですが、経費科目でも使えます。なお、貸借対照表科目でも設定可能ですが、使うことはありません)



STEP.1で、編集画面が出てきたら、設定します。
設定しますと言っても、「赤伝用の科目を表示」のチェックボックスにチェックを入れる、これだけです。
チェックを入れると、支出取引相手勘定科目に、債権科目が登場しますので、これで赤伝機能を使うための準備が完了です。
今回は、「売掛金」を選択します。
(収入取引相手勘定科目と同じ勘定科目を選択してください)

チェックボックスに
チェックを入れない場合

チェックボックスに
チェックを入れる

債権科目が登場

「売掛金」を選択
freeeの入力例
売上のマイナス100,000円計上を例に、freeeの入力方法例を紹介します。
今回は、次のように入力します。
- 収支:「収入」を選択
- 決済:「未決済」を選択(未決済を選択すると、「口座」が非表示になる一方、「期日」が表示されます)
- 発生日:「取引日」を入力
- 取引先:「取引先」タグより選択
- 期日:「回収期限」を入力
- 勘定科目:「売上高」を選択
- 金額:「−100,000」を入力
- 品目・部門・メモタグ:各タグより適宜選択
- 備考:「取引内容」を入力


をクリック


「赤伝用の科目を表示」の
チェックボックスに
チェックを入れない場合
→貸方に「売掛金」が表示されずに
「未払費用」が表示

「赤伝用の科目を表示」の
チェックボックスに
チェックを入れた場合
→貸方に「売掛金」が表示
赤伝機能を使うことにより、勘定科目が別れて計上されることがなくなり、売掛金(買掛金)残高をあるべき残高で計上することができます。
ちなみに、前セクションの勘定科目の設定で「赤伝用の科目を表示」にチェックを入れると、「登録済みの未決済取引の変更」というメッセージが登場し、チェックを入れる前の取引も一斉に変更するか、そのままにするかを選択することができます。

まとめ
今日は、freeeの赤伝機能を紹介しました。
赤伝機能を使うと、売掛金や買掛金を正しく計上し、債権債務管理もきちんとできるようになりますので、振替伝票を使いたい衝動を抑えて、赤伝機能をガンガン使ってください。
編集後記
最近、大雨が続いていて、改めて、異常気象のもとにさらされているのだなと思います。
自然相手ですから、どうすることもできないこともありますが、自分でできる限りのことはしようと思います。