決算作業でやっておくべきこと

みなさん、こんにちは。freee専門公認会計士・税理士の中田裕司(なかたゆうじ)です。

年度末である3月末が迫り、決算の準備を進めている企業も多いと思います。

今日は、決算作業で最低限やっておくべきことを「事前準備」「決算日」「決算作業」に分けて紹介します。

目次

事前準備

決算業務に対する協力の案内

滞りなく決算業務を行うには、経理部門以外の他部門や取引先の協力やが欠かせません

経費精算は全社、得意先への請求書については営業部門、仕入先からの請求書は仕入先に対して協力を仰ぐ必要があります。

また、決算日には実地棚卸を行いますので、実地棚卸に関する案内も必要です。
(場合によっては、実地棚卸と一緒に固定資産の現物調査を行うこともあります)

決算だけでなく、日頃から経理業務への協力をお願いするところですが、決算業務は特にやることが多く、期限もタイトなので、決算日前に協力のお願いをして、事前準備をしてもらうようにしましょう。

決算業務の洗い出し&スケジュール表の作成

決算業務は年に1回しかないので、何を、いつまでにやるかを忘れがちです。

ですので、決算業務でやることを洗い出し、いつまでにやるかを明確にしましょう

最近は、BacklogやAsanaといった、クラウドのタスク管理ツールがありますので、これらを使うといいでしょう。

現金実物と会計システムの現金残高の照合
(預金の通帳残高と会計システムの預金残高の照合)

現金実物と会計システムの現金残高の照合、預金の通帳残高と会計システムの預金残高の照合は、不正防止の観点から、日々行うべきものです。

もし、現金実物(預金の通帳残高)と会計システムの残高にズレがある場合、ズレの原因を調査する必要があり、時間が取られます。

もちろん、ズレが生じないことがベストですが、ズレが生じたとしても、決算日前に解消すれば、決算業務への影響はありません。

決算業務はただでさえ忙しいので、現物とシステム残高のズレは、決算日前に解消させましょう。

売掛金の滞納債権の確認

本来の入金日に入金されていない売掛金が滞納している場合、滞納期間・理由・回収のめどはたっているのかなどを調査し、場合によっては貸倒処理が必要になります。

決算日後にも確認は必要ですが、決算日前に滞納債権を洗い出し、回収に向けたアクションを早めにとり、決算作業への影響を抑えるようにしましょう。

買掛金・未払金の支払漏れの確認

買掛金・未払金の支払漏れはあってはいけないことですが、どの会社でも起こり得ることです。

買掛金・未払金が長期間計上されている場合、支払の消込が誤っているか、本当に支払いが漏れているかだと思います。

消込の誤りであれば、会社内部の話で済みますが、本当に支払いが漏れていると、取引先に迷惑をかけますので、一日でも早く支払う必要があります。

いずれにしても、決算日前に支払漏れがないようにしましょう。

滞留在庫の処分

滞留在庫がある場合、資金繰りを悪化させます。

原価割れで販売したとしても、資金繰りの方が重要ですので、滞留在庫の有無を確認し、滞留在庫を決算日前に販売するようにしましょう。

中小企業の少額減価償却資産の確認

中小企業限定ですが、取得価額が30万円未満の減価償却資産(=少額減価償却資産)を取得した場合、年間300万円までは経費計上することができます。

通常、数年間に渡って減価償却するものが単年度で経費計上するため、単年度だけ見れば、少額減価償却資産の規定を適用すると、税金が安くなります。

事前に少額減価償却資産の有無を確認し、税金計算のシミュレーションを行うことをオススメします。
「単年度だけ見れば」を強調したのは、通常の減価償却であれば、次年度以降も経費計上するものを、少額減価償却資産の規定を適用して先取りして経費計上しているだけで、通常の減価償却を適用した場合に比べて、翌年以降の税金は高くなるからです)

なお、少額減価償却資産は、市区町村に償却資産として申告する必要がありますので、こちらも合わせてご留意ください。

決算日

実地棚卸

実地棚卸は、在庫の数をカウントするものです。

通常、実地棚卸は決算日に実施するものです。
(小売業などでは、循環棚卸と言って、決算日前に棚卸日を分散させる方法もありますが)

事前準備で、棚卸方法、時間、配置図などを整理して、当日の棚卸が滞りなく行えるようにしましょう。

場合によっては、固定資産の現物調査も合わせて行ってもいいでしょう。
(固定資産の数にもよりますので、数が多い場合には、決算日前に実施します)

決算作業

売掛金・買掛金・未払金の二重計上・計上漏れの確認

売掛金・買掛金・未払金は件数も多くなることがあり、二重計上、計上漏れを1件づつ確認するのは大変です。

大変だからと言って手を抜くわけにはいかないのですが、効率的に確認する方法があります。

それは、取引先ごとに売掛金・買掛金・未払金の残高の月次推移分析です。

通常、月末締め翌月末入金(払い)が多いと思いますので、売掛金・買掛金・未払金の残高は1ヶ月分計上されるはずです。
(きちんと月次決算ができていればの話ですが。。。)

毎月1ヶ月分の残高が計上されるだろうという仮説が立てられるので、月次推移分析をすることで、その仮説が正しいかどうかを検証することができます。

異常に増えていたり、残高がゼロになっていたりする取引先があれば、二重計上・計上漏れの可能性がありますので、さらに深堀りしていって原因を探りに行きます。

すべてのミスを発見できるわけではないですが、月次推移分析をすることで異常値があぶり出され、大きなミスを発見することができますので、月次推移分析をオススメします。

勘定科目のマイナス残高の有無の確認

まれに、貸借対照表の科目でマイナス残高があるのを見かけますが、貸借対照表科目でマイナス残高がある場合、誤りが含まれています
(貸倒引当金、減価償却累計額、自己株式はマイナス表示ですので、これらはマイナス残高です)

貸借対照表科目でマイナス残高が含まれているかどうかを確認し、マイナス残高があれば、原因を調査し、マイナス残高の解消に努めましょう。

固定資産台帳と会計システムの固定資産残高との一致確認

固定資産台帳で固定資産の管理、減価償却計算を行い、その結果を会計システムに反映させていると思います。

固定資産台帳がエクセルだったり、会計システムと連携していなかったりすると、固定資産台帳と会計システムの残高がズレる可能性が高まりますので、固定資産台帳と会計システムの固定資産残高が一致しているかどうかを確認することが重要です。

貸倒処理の判断 

事前準備「売掛金の滞納債権の確認」及び決算日後以降の状況調査を踏まえ、滞納債権を貸倒処理とするかどうかを判断する必要があります。

次のいずれかに該当する場合は、貸倒処理することができる可能性が高いです。

  • 得意先が会社更生法や民事再生法などの適用を受けている
  • 債務者の資産状況、支払能力等を鑑みて、債権の全額が回収不能
  • 取引停止、もしくは、最後の弁済の遅い方から1年以上を経過している

貸倒処理は経理部だけで判断できるものではないので、営業部門や役員も巻き込んで、対応するようにしましょう。

まとめ

今回紹介したものは最低限やっておくべきことですが、わたしが最もお伝えしたいのは、

  • 事前準備が大事
  • 決算日前にやれることをやって、決算日以降に持ち越さない

です。

そのためには、日頃の会計処理や月次決算が重要ですので、決算業務と同様、日常業務も大事にしましょう。

編集後記

会計士協会から研修受講の違反に関するプレスリリースがありました。

公認会計士は、3年間で120時間ほどの研修受講をしないといけないのですが、複数の研修を同時に受講したり、早送りで受講したりした人がいたようです。

違反行為はもってのほかですし、弁明の余地はないのですが、処分だけでは対症療法ですので、抜本的な改革を望むところです。
(正直、研修はつまんないものばっかですし)


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